昨年12月にメジャーデビューを果たしたNon Stop Rabbitが5月19日にニューシングル『三大欲求』をリリースする。

メジャー1stシングルとなる今作は、初のアニメ主題歌として書き下ろしたバラード曲「静かな風」をはじめ、

ガールズバンドに扮するミュージックビデオが話題となったポップソング「推しが尊いわ」

さらに目標に向かって突き進む強いメッセージを打ち出したロックな新曲「三大欲求」と「是が非でも」という4曲を収録。

キャッチーな歌と反骨精神を剥き出しにした歌詞、尖った遊び心、深読みできる楽曲の仕掛け。

バンド結成以来、ノンラビの貫いてきたブレない軸に磨きがかかった今作『三大欲求』で、改めてノンラビとは何かを提示する。

 

 

――メジャーデビューアルバム『爆誕 -BAKUTAN-』の反響は届いていますか?

 

田口達也(Gt):いや、お客さんの前でライブができてないので……。

矢野晴人(Ba.Vo):直接は届いてないですね。あんまり実感がないんですよ。

 

――ノンラビは配信ライブをやらないっていうスタンスを貫いてますしね。

 

田口:そうなんです。ツイッターとかで「聴きました」っていう声は届くんですけど。

やっぱりライブにたくさん集まってくれたっていうインパクトには欠けるんですよね。

太我(Dr):日常が何も変わってないですからね。ライブがないぶん、メジャーデビュー前よりも落ち着いてるし。

このまま年をとって気づいたらいなくなってないかな?って。

矢野:デビューしたのに!?

田口:あはははは

太我:どんどん人気がなくなってる感覚です(笑)。

田口:ただ、今回のシングルに付くライブDVDに収録する曲を発表したときに、「TABOO」っていう曲に対して、

「いちばん好きだから嬉しい」っていう声があったんですよ。

僕たちのなかで「TABOO」は、リードにするか迷った曲なんです。

でもEDM要素が強いから、もう少しわかりやすいロックな曲がいいんじゃないかってことで、「ALSO」とか「BIRD WITHOUT」を前に出したので。

こういう曲も好きになってくれたのはうれしい反応でしたね。

 

――矢野くん、太我くんは、そういう楽曲ごとのリアクションって受け取ってませんか?

 

矢野:うちの母親の話をしてもいいんですか?

 

――どうぞ(笑)。

 

矢野:母親に響いたのは「音の祭」で。

田口:そうなんだ? じゃあ、俺とマインドが似てる。

矢野:実家に帰るたびに「私、「音の祭」いちばん好きなの」って言われるんです。

毎回それを言われるので、「あ、相当好きなんだな」って思ってますね。

田口:熱いお母さんだな。

太我:それこそ俺もハルと一緒で。お父さんが「最後のキス」いいよね」って。

矢野・田口:だはははは!

田口:あのお父さんが!?

太我:「おいおい、気持ち悪いな」って、ちょっと思ったんですけど(笑)。

田口:たしかに自分のお父さんにこれ好きって言われると。

矢野:バックボーンが気になるね(笑)。

 

――ご両親だからひいき目もあるかもしれないですけど、親世代にも届くアルバムを作れたっていうのはひとつの手応えになったんじゃないですか?

 

田口:うん、あと、お母さん世代が圧倒的に聴いてくれてるんですよ。

一回インスタかなんかできたメッセージで、

「もうすぐ出産なんですけど、痛くなってきて、暴れてるなと思っても、ノンラビの曲を流したら落ち着きます」ってきたから、俺もふざけて、

「そういう周波数を入れてるから」ってシェアしたんです。

そしたら、エグい量のお母さんから、「マジでノンラビ聴いてて、子どもが泣きやみます」みたいなコメントがあって。

意外にお母さんウケが意外にいいんだよなっていうのがわかりましたね。

矢野:若ママね。

 

――おもしろい現象ですね(笑)。そんなメジャーデビュー作『爆誕 -BAKUTAN-』から5ヵ月ぶりになるメジャー1stシングルが『三大欲求』になります。

 

田口:はい。

 

――まず、初めてアニメ(『ドラゴン、家を買う。』)のED主題歌に書き下ろした「静かな風」が収録されるということで。これはどういったかたちで伝えられたんですか?

 

田口:それが、ポニキャン(ポニーキャニオン)が配慮に欠けてるのが……。

矢野:(スタッフに)聞いてるかー(笑)!?

田口:「アニメ決まったんですけど、それで……」みたいな業務連絡みたいな感じだったんですよ。

いやいやいや、「それで」じゃなくて!もうちょい何かあってもよくね?っていう。

太我:サプライズ感がね(笑)。

田口:そうそう。ハッピーバースデーやったことないんか、こいつらはって思いました(笑)。

ぬるってこられたから、こっちの反応もぬるっとしてたんですけど。

 

――内心は?

 

田口:よしっ!てなりましたよ。初めてテレビで1話を見たときなんかは、お笑い要素が強いアニメなのに、エンディングで感動しちゃって。

太我:そわそわしたよね。

矢野:なんかちょっと不思議な感覚でしたね。

 

――曲調はバラードですけど、このあたりは先方からのリクエストでもあるんですか?

 

田口:最後に包み込む感じで終わってほしいって言われたんです。

で、漫画を読んだときに、あきらかに主人公のドラゴンのキャラが優しくて包み込むようなやつだったんですよね。

飛べなくて弱い。

それが昔の自分らみたいだなと思ったんです。

本当はこうしたい、ああしたいっていうのがあるけど、路上で燻ぶってたときがあったので。

その状況に似てるなっていうので、この曲は俺らをアニメ化したような感じで作っていったんです。

 

――「包み込む感じ」というのも、ロックなアプローチで包み込むこともできたと思いますけど、あえて深遠なサウンドで聴かせようと思ったのは?

 

田口:アニメを見て、わーって笑って、「おもしろかった」って見終わったあとに、こういう曲が流れることで、

「あれ? これ、大事なこと言ってるのかも、本当は」って思ってもらえるんじゃないかなって思うんですよ。

最終的にこのアニメはそうなっていくと思うんです。

あんなに弱っちいし、恨まれてるドラゴンがなんでみんなに愛されるのかを考えさせられる。

そこも俺らに似てるんですよね。

俺らもずっと「バンドがYouTubeはじめた」っていう偏見で見られてきたので。

俺らのいちばん下に沸々とあるものって、おらーっていう感情じゃなくて、たぶんこの曲みたいな、

「なんでだろうね……」っていうもやもやした感覚というか。静かなものが流れてる。

そういうのを表現したいなと思ったんです。

太我:この曲ってノンラビ感がまったくないんですよ。

ノンラビを知ってる人でも、たまたまアニメを見て、エンディングのクレジットでNon Stop Rabbitって見たときに、

「あ、これ、ノンラビ!?」みたいになると思うんです。

オーダーがあるからこそ、こういう曲ができるのはおもしろいなと思います。

 

――矢野くんはボーカル録りに関してはどういったスタンスで臨みましたか? 

 

矢野:漫画を読んで、主人公のレティ(ドラゴン)の気持ちがわかるし、僕も自分たちに重なる部分があるなっていうのは思ったから、そこは意識して歌いました。

壮大さに身を任せて、そこに乗っかったというか。

いつもはオケに押されながら、うわーっていく感じですけど。

これは自分も曲を聴きながら歌えましたね。

 

――ちなみに「静かな風」というタイトルには、どんな意味があるんですか?

 

田口:飛べないドラゴンっていうところからですね。

ドラゴンって、飛ぶときはバサーッて大きく音を立てて飛ぶものだと思うんですけど、レティは飛べないから、そこに風が巻き起こらないんです。

でも、レティの周りには優しい風がある。

だから、いろいろな人が寄ってくるんじゃないかと思ったんです。

風って言うと、「追い風」とか「向かい風」が思い浮かぶけど、実は無風のときだってあるし、そのなかで一生懸命生きてたりもする。

イントロを作った段階から、そういうイメージがあったんです。

 

――ノンラビのイメージはむしろ「突風」だと思いますけど、そういう表面的な部分だけじゃないものをメジャー1stシングルに入れられたのは意味があるのかもしれないですね。

 

田口:うん。俺たちって、「後ろから来た風に乗っかれ!」とか、

「どんな向かい風が吹いてきても、突き進め!」っていうイメージですよね。

それがスンッてなってる。ちゃんと根っこにある静かな部分を見せてるのがこの曲ですね。

 

――あと、今回のシングルですでに話題になってる曲が「推しが尊いわ」です。バレンタインデーにミュージックビデオが公開されましたけど。

 

田口:(スタッフから)バレンタインデーみたいな世間的に盛り上がる日に何かやりたいよねっていう提案があったんです。

で、直近でバレンタインデーがあったから、「じゃあ、書きますよ」って作ったのが、「推しが尊いわ」ですね。

 

――ミュージックビデオを見たときに、「あ、今回はガールズバンドを起用したんだ」と思ったんですよ。そしたら、メンバーの女装だったっていう。

 

矢野:1回騙されました?

 

――うん、騙された。

 

一同:おぉーっ!

太我:じゃあ、俺らの勝ちですね(笑)。

 

――どうでしたか? 実際に女装をしてみて。

 

田口:暑いですね、女性って。首のまわりに髪の毛があるぶん暑いし。

あと、髪の毛が口に入ったりして大変だし。女性はしんどいなと思いました。

矢野:優しくしなきゃなって。

太我:いやでも俺、意外と女装にハマっちゃって。定期的に……。

田口:やってるの?

太我:お風呂に入る前にひとりで1回女装をしてます(※冗談です)。

一同:あはははは!

 

――「推し」というものをテーマに書こうと思ったのは、どうしてですか?

 

田口:これも実は反骨精神なんですよね。

バンドのファンって、「推し」って呼ぶのを嫌うじゃないですか。

で、僕らみたいなのって、YouTubeからきてくれるファンもいるし、バンドのファンもいる。

ふたつのタイプのファンがいると、揉めるわけですよ。

 

――文化が違うところがありますからね。

 

田口:そう。でも、僕らはひとりでも多くの人に聴いてもらいたい、国民的バンドになりたいって言ってるのは周知の事実なわけで。

って考えると、全員が大切なファンなんです。

だから、ファンが揉めるのは、極論を言ってしまえば、俺らが意見を言ってやらないから悪いんだと思ったんですよ。

バンドに「推し」を使うのはダメだとか、それはアイドルの言葉とか、いや、全員ちょっと待て、と。

誰に決められた感性でやりとりしてるんだ?って話じゃないですか。

ファンっていう単語を「推し」に変えただけ。

そういう新しい文化を作っていかないと、何もならなくね?って思うから。

じゃあ、俺らが全部やってやるわっていうことですよね。

女装までして。

 

――ノンラビのスタンスとしては、「推し」で全然いいよっていうことですよね。

 

田口:うん。何を好きでもいいと思うので。

その言い方なだけですよね。

 

――あと、この曲を少し深読みすると、コロナ禍では、イベントとかライブが、必要か不要か論争があるわけじゃないですか。それに対する想いもあるかなって。

 

矢野:それは考えすぎかなあ(笑)。

 

――あ、そうですか……。推しのない人には理解できないかもしれないけど、バンドでも、アイドルでも、推しがいることが人生の糧になってる人もいる。そういうメッセージかなと思ったんです。

 

田口:たしかに、この曲のミュージックビデオの最後に「推しがいる自分を押せ」っていう言葉も出してますからね。

 

――あれ、歌詞にはないけど、いい言葉ですよね。

 

田口:でも、そういうことだと思うんですよ。

押しがいることで何かのきっかけになればいいというか。大好きな推しのCDを買いたいから、1ヵ月バイトがんばりましたでも、受験勉強をがんばりましたでも。

それは推しっていうお仕事、「推しごと」ですよね。

推したことがない人が推してるやつをバカにするけど、本気で熱中してるだけだから。

それは素敵なことだと思いますね。

 

――曲調としては、かなりアップテンポなポップソングですけど。矢野くん、太我くんは、どんなところを意識しましたか?

 

矢野:自分の推しを想像しながら歌うのがいちばんいいのかなって。

 

――それは誰だったんですか?

 

矢野:ご存知かわからないですけど、藤田ニコルさん。僕、誕生日が一緒なんですよ。他のことは一切考えずに、ニコルさんのためだけに歌いました。

 

――ニコルさんのどんなところが好きですか?

 

矢野:逆に好きじゃないところがあげられないですよね。

田口:お前、彼氏ヅラするなよ(笑)。

 

――ちなみに、私、ニコルさんに取材したことがあって……。

 

矢野:本当ですか!? そういうマウント取るのやめてもらえます(笑)? 

一同:あはははは!

矢野:僕は売れたときに会いに行くって決めてるので。

田口:絶対にフラれてほしいわぁ(笑)。

矢野:で、どんな人でした?

 

――可愛かったです。あと、礼儀正しくて、頭の回転がめちゃくちゃ速い。

 

矢野:そうですよね、うん、めっちゃわかります。

一同:あはははは!

 

――ボーカリストとしては歌うのが大変そうな曲だなと思いましたけど、そのあたりはどうでしたか?

 

矢野:難しかったです。かなり苦戦しましたね。

田口:この曲はハルのせいで作らされた曲でもあるからね。

矢野:あ、そうなんですか?
田口:俺のところにめっちゃくるんだよ。

矢野晴人って、アイドルなの? バンドマンなの? どっちなんですか?って。

それを見て腹が立って。

いや、いいんじゃない? あいつがアイドルファンを獲得してくれれば。

でも、僕はバンドマンであることは変わりませんよっていう気持ちもあったんですよ。

矢野:そうなんだ。

 

――矢野くん自身はどうなんですか? そう言われるのは?

 

矢野:いや、僕は矢野晴人なんで。

田口:その発言が許されるのはキムタクからやぞ(笑)。

矢野:あははは! その人にとってアイドルだったらそれでいい。

その考え方でいいかなって。

特にアンチも気にしないですし、なんでも大丈夫です。

 

――太我くんは、この曲に対しては、どんなふうに向き合いました?

 

太我:とにかく歌が聴きやすいように、バスドラの跳ねる感じを出してますね。

ぴょんぴょんしやすいようにというか。

そういうノリは意識してます。

あとは、僕も常に吉岡里帆さんのことは頭にありました。

休憩のときは、どん兵衛を食べましたね。

田口:CMをやってるからね(笑)。

 

――(笑)。この曲では、「キュンです」っていうワードが何度も出てきますけど。

 

田口:これは入れるときにけっこう調べたんですよ。

いまの若い子たちって、こういうふうに使うのか。じゃあ、使わなきゃって。

 

――歌詞に「メール」とか「LINE」みたいな時代性が出る言葉って、使うか、使わないか、ソングライターのポリシーがわかれると思いますけど、田口くんはどう考えてますか?

 

田口:ある意味、「推しが尊いわ」は、押しっていう文化がなくなったら一緒に死んだらいいと思うんですよ。

でも推しをしてた人は、ふとした瞬間に思い出すこともあると思うんです。

ギャルがパラパラを思い出す、みたいな。

当事者にとって、その時代を楽しむイチ要素になったら、そのあとは、この曲は一緒に死んでくれて本望だなっていう感じですかね。

 

――曲に対して、作り手が「死んでもいい」って、なかなか言えない気がします。

 

田口:そうですか? 別にいいっすけどね。

まあ、そうじゃない曲がちゃんとあるので。

これは絶対にずっと聴いてほしいっていう曲もあるけど、「推しが尊いわ」に関しては、この時代ならではの曲なのかなと思いますね。

 

――では、リード曲「三大欲求」についても聞かせてください。この曲もテーマから書きはじめたんですか?

 

田口:そうですね。「三大欲求」って、俺らと合わせると、不純に聞こえると思うんですよ。

 

――たしかに。(笑)

 

田口:けど、実はそこが出発点じゃなくて。

きっかけになったのが、僕が上京して役者を目指してたときに、同期だった役者とか後輩と久しぶりに話す機会があって。

そのときに、まだ何も結果を残ってないのに、下積みをやめずにがんばってるやつがけっこういたんです。

僕らって、ずっとリミットを設けてやってるじゃないですか。ここまでに飯を食えなかったらやめるとか。

 

――25歳までにZeppでライブをやれなかったら、バンドをやめるとか。

 

田口:そう。でもそうじゃないところで、まだがんばり続けてる人もいて。

それにはそれのよさを感じたんです。

その根本にあるのは、僕らと同じ気持ちなんですよね。

認められたいとか続けたいっていう。

俺らは、音楽をやってるとき、時間なんか忘れるし、腹だって減らない。

それは向こうも同じなんです。

好きなものがあったら、三大欲求にも敵わない。

っていうところで、「三大欲求」っていう言葉が出てきた。

だから「食べる、寝る、セックス」からはじまった曲じゃないんです。

 

――生活以上に優先するものが自分たちを突き動かしているんだ、と。

 

田口:そういう没頭できるものが誰にでもあるんじゃないかなっていう曲ですね。

 

――サウンドはダンスロックっぽいアプローチですけども。

 

矢野:いままでのノンラビの良さが最大限に出た曲ですね。

 

――とにかくメロディがキャッチーで覚えやすい。

 

太我:それは『全A面』(2018年)を出したときから変わらないんですよね。

 

――ええ。当時から「全曲A面の気持ちで作ってる」という話はしてましたけど、実際にキャッチーな曲を作り続けるって、簡単なことじゃないと思うんですよ。

 

田口:めっちゃ大変ですね。

これは作曲家的な感性ですけど、メロディって限りがあるんですよね。

鍵盤の数が決まってるから。

あと、僕の手癖もあるし。

これは過去に別の曲で使っちゃってるっていうのもあると、メロディを作るのはすっげえ時間がかかるんです。

ただ、いちばん嫌なのが、「メジャー前に使い果たしたな」って言われることなので。

それは絶対に言われたくない。

作曲家として、そこと戦ってる感はありますよね。

 

――なるほど。もうひとつの新曲「是が非でも」は、過去にノンラビがテーマにした「自力本願(他力本願ではなく、自分で自分の道を切り拓いていくという意味の造語)」に通じる曲です。

 

田口:そうですね。「是が非でも」でやりたかったのは、ファーストシングルで「私面想歌」(2017)っていう曲で、バンドのことを知ってもらえたので、

それとまったく同じ構成の曲を作りたかったんです。

「私面想歌」は頭サビではじまって、BPMが遅いところから、イントロが入った瞬間に速くなって、

ギターリフがきてっていう王道の作り方をしてて。

じゃあ、メジャーにきて、もう1回同じようにロックバンドらしい曲をやってみたときに、どうなるのか?っていうことですね。

 

――作る前にそれをメンバーとも共有したんですか?

 

矢野:いや、特に説明はなくて。

 

――じゃあ、ふたりは作りながら気づいた?

矢野:頭サビが遅い、BPMが違うっていうので、「あ!」って思いましたね。

太我:僕もドラムフレーズでわかりました。

どんな感じのドラムを叩けばいいかって、デモを聴けば大体わかるんですけど、この4曲のなかでいちばん好きにやったのが「是が非でも」なんです。

「三大欲求」なんかはサラッとしてますけど。

 

――太我くんのドラムはそこらへんを割り切ってますよね。この曲では歌が主役だから身を引くとか、この曲では思いっきり主張するとか。

 

太我:僕らはYouTuberなので、ドラム以外で付加価値をつけられるんですよ。

もしこれで僕がドラマー1本だったとしたら、もっとこうしたいとかあると思うんですけど。

「是が非でも」みたいな曲では好き放題にやってるけど、そうじゃない曲では「ドラムのお兄さん」みたいな感じです。

田口:それ、おもろいな(笑)。

 

――全4曲、話を聞かせてもらいましたけど。濃いシングルですね。同時に、これまでノンラビがやってきたことが凝縮された作品にもなっていて。

 

矢野:メジャーファーストにぴったりですよね。

名刺になるというか。自分たちでも、いままでやってきたことが正しかったなって思える1枚になったと思います。

 

――最後に今作のタイトルを「三大欲求」にしたことにも意味があるように思ったんですけど、どうでしょう?  いわゆる食欲、睡眠欲、性欲ではなく、この4曲で歌われる欲求のうち、どれを大切に生きますか?という問いかけにもなっているのかな、と。

 

田口:うん、そのとおりですね。

実は、曲のタイトルを「三大欲求」に決めたあと、シングルのタイトルを、

「四大欲求」か、「一大欲求」か、「三大欲求」にするかで悩んでたんです。

三大欲求を超えるものが、あなたにはいくつあるんですか?っていうのが、

僕の本当に問いたいことだったんですよね。

あなたは何をやってるときが、人間としての理性に勝ててるんですか?っていう。

 

――そう考えると、人が何かを成し遂げるうえで欲望って大事ですよね。

 

田口:そうですね。僕らが「三大欲求」っていう言葉を使うと、なんで不純に思われるか?って言うと、

変に三大欲求を満たしてるからだと思うんです。

それをしっかり(YouTubeチャンネルで)言ってるし。

もともと俺らは満たしたい三大欲求のレベルが低いところで路上ライブをやってたけど、バンドが大きくなっていくなかで、

三大欲求だけが低いままなのはおかしいと思うんです。

大きくなったぶんだけ、もっといい暮らしがしたい、もっといい女を抱きたい、もっと稼ぎたいってなる。

じゃあ、もっとがんばっちゃおう、みたいな。それでいいのかなと思うんですよね。

 

――そういうこともYouTuberバンドだから赤裸々に言えちゃう?

 

田口:うん、ふつう言えないですから。ある意味、それも僕らの強みですよね。

 

(取材&文:秦理絵)